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ダブルクロス・オリジン 『偽りの仮面』


ネタバレ全開してますのでご注意を。




ダブルクロスに登場するキャラクターは、『オーヴァード』といって全員普通の人間ではありません。
人間を超えた力を持っているけどそれはウィルスに感染したためで、ウィルスの侵食が限界を超えると、暴走する化け物になってしまう。
シャドウハーツのウルがよく似てるかも。
(序盤のウルは力を使うときに「化け物になんかなりたくない! 化け物になんかなりたくない!」と思いながら変身している)

普通の人間はオーヴァードの存在そのものを知らずにいます。
そのため、オーヴァードになってしまった人間は一緒に生活している相手にも決してそのことは言えない。
物語やキャラクター設定、あらゆる部分で「普通」との隔たりが演出されている。
この話の「主人公」を見るだけでも(リプレイだけど主人公がいるw)
オーヴァードになる前の自分が死んだことにされていたり過去を抹消されていたり。

そして、化け物になりそうな時に、自分をつなぎとめる大切なものが『日常』で関わる人たち。
帰る場所とかよりどころとか、設定でもゲームのシステムでもそんな超重要なポイントです。
FF8やFF9のEDであるような、『戻る場所を強く想ったから帰って来れたんだ』的な。

いよぉーーし、説明終わりw
この感想には絶対必要なんだもんな。

第一話目では隼人(主人公)が子どもの頃、隣に住んでいた知り合いが登場。
でも、その彼女にとって隼人は「事故死」していることになっている。
目の前にいるのがその本人だとは知らないまま過去の隼人の思い出話をするシーンがやりきれない。

この種の切なさが今回のリプレイのテーマだね!
もうおいしすぎ切なすぎで最高ですよ。
ロールプレイもクサくて最高w
なんで天氏演ずるキャラがアホ全開してる会話の横でこんな「せつなさみだれうち」が撃てるんだろうw

クライマックスでその彼女のロイスをタイタスにするシーンもまたいーんですよ。
システムやルールがわからん人おいてけぼりなコメントだけど!
主人公が彼女を守るためにそのつながりを自分から断ち切ったんだと解釈してもらえたらと思います。
(ゲーム的にはその効果を自分の復活に使ったんだけどね。もう一度立ち上がるためと言えば聞こえがいいなw)

「こっちの世界には来させない!」

TRPGで全部アドリブのはずなのにどーしてこうも小説みたいに盛り上がりますか?

そして第二話。
最初に、隼人の『本名』を決めてるのがポイントでした。
そこを読んでるときは全然気にもとめてなかったけど、でもそのおかげでもうこれ以上ないってぐらいツボにきた!!(笑)

第二話で展開されるのは、「オーヴァードのない世界」
プレイヤーキャラ全員の憧れです。
もしもオーヴァードなんてものがなかったら自分は普通の人間として生活できていたから。
(しかもこの話の最初で、主人公に楽しい高校生活イベントが起こっている皮肉w)
その世界を創造してるのは、一話目に出てきた主人公の幼なじみ。
自分がオーヴァードと言う自覚がないためにその創っている世界にもオーヴァードは存在しない。
完全に無意識に世界を少しずつ変えています。
望むのは「事故死したことになっているほうの」『はやと』が生きている世界(早人と書きます。最初に設定した隼人の本名)

もうこの演出部分読んだとき、なんかもう勿体無くて読み進められなかったw
もっとちゃんと落ち着いて噛み締めるようにこの先を味あわなきゃーと思い、コーヒー入れて来たり。
完全に大作RPGやるときの気合の入れ方w
これから映画見る前のひと準備みたいな?

その現象を止めるためにキャラクターは動くわけだけど、その手段として
「隼人が早人であると明かす、実は生きていたことを明かす」というのがあげられて…
(早人が生きている世界を創るためにこの現象があるわけだから)
実は生きていた理由を話すとどうしてもオーヴァードにたどりつくから、隼人はそれを選ばなかった。
最後の『日常』だから、と言って、『早人が生きている』ことにしたい彼女の思い込みを訂正する方を選んだ。

その時のセリフが

「俺は俺を殺す」

…なんでこんなかっこいいんだよおおお!!!!!
何度もいうけどこれ小説のキャラが吐いたセリフじゃないんですよ!?
TRPGの会話の流れなんですよ!
この小説でもなかなか出ないようなかっこいいセリフが!
(照れとかそんなレベルを完全に逸脱してるね!)
ダブルクロスのリプレイはこういう神がかったセリフ満載でもうたまりませんw
読むのにもなんか、エネルギーというかテンション消費するーーw

説明とか全然足りん気もするけど、まあ…演出サイコー!!!!
ってことでした。


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2006.08.03