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ヘラクレスの栄光3


スーパーファミコンクオリティな当時としてはごくごく普通のRPG。
…中盤まではね。
終盤は、もう、すごいの一点。
なにせ、終盤の展開しか覚えていないぐらい衝撃的でした。
もうこれはゲームじゃないと絶対に味わえない。
マンガや小説、映画でこれをやってもただのどんでん返し。
「見る」ものと「やる」ものの違いだなあこれは。

記憶喪失で不死身の主人公たちが世界を救うために旅をするという話。
RPGとしては、エンカウントも多いし地味だし敵は仲間を呼ぶし戦闘がめんどくさいしイベントも新鮮味のない水戸黄門タイプだし、当時プレイしててもなかなかにだるかった記憶。

それを乗り越えて終盤まで行ったときに今までのイベントのすべてが意味を持つ。

以下、ネタバレ。






主人公たちは街々で色んな噂を耳にします。
一人一人に話しかけ、断片的な情報をつかんでいきます。
ゲームが進むとある人物の噂が。
「ああ、こいつがラスボスかなんかなんだな。悪い奴だなあ」
そんな、なにげない、RPGとして普通ーーーの当たり前でありきたりな情報。

更に進むと、その人物の行いによる犠牲者と出会います。
石化した街の住人たちを見たり、その人物から必死で逃げた人を探しに洞窟に入ったり。
本当に悪い奴だな…そろそろこいつと会って倒すことになるかな…なんて思いながらプレイ。

世界を救うための行動の選択を間違えた主人公。
大洪水が起こり、世界は滅んでしまう。
人間が大地を傷つけてきたこと、そして噂で聞いてきた人物が最悪の行動をしたことで神々の怒りをかったことを知る。
マップがほぼ全部海になってしまって、FF3の大海原を飛んでるような気分。

どうしようもなくてずーっと飛んでいると、何か呼ぶ声がして冥界にたどり着きます。
そこで、ハデスに会うことになって……

今まで聞いてきた人物の名で、呼ばれます。
ラスボスか黒幕かと思っていた悪人の名で呼ばれます。

今まで見てきた悪事は全部自分がやってきたことだったーーー!!!
この衝撃はすごかった。
更に、その時の自分は既に死んでたこと。
死後にハデスに新しい体をもらったこと。
魔物を率い、大地を傷つけてきた人間を滅ぼせという命令を受けていたこと。
追いうちが次々に。

ハデスの命令をこなせなかった主人公、魔物の姿に変えられてしまいます。
さらに別の神には人間が滅ぶ直前の時間まで戻されてしまいます。世界が滅ぶ時間のループ。
どれだけ恨みかってんだと。
というかあれだけのことしたんだからしょうがないよなと。
セシルがミシディアでカエルにされるようなもんだなと。

時間が戻る中で、これまでの見てきたイベントが逆送りで再現されていく。
この辺がすごくうまい。

過去のイベントが以前と同じように繰り返されて、このままいったらまた同じ滅びがやってくる…という時間の中に囚われてしまった主人公、以前と違うことをして、その輪から出ることに成功する。
ついでに、世界が洪水が起こる前の時間にも戻ることが出来た。
さらに記憶も取り戻した。
その記憶を取り戻したときに長い回想イベントがはいるのだけど…これが前世(?)の悪事の回想なんだよね…
ハデスの話聞いてるときよりも「ごめんなさい」って気分にさせてくれる。
ゲーム終わってからも後に引くほどきっついイベントだったな…

その回想から、最後にすべきこと行くべきとこをプレイヤーは推測して
今度こそ正解ルートをたどりエンディングにたどりつくのです。
(一回目は強制で洪水ルート)

本当にゲームっていうものを最大限利用したシナリオと演出だったなあ。




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2006.12.25